ジャガイモ ⇔ ネギ 交互栽培

~無限ループ栽培について~

目次

はじめに

ジャガイモとネギ、一見すると関係なさそうな組み合わせですが、実はとても相性の良いコンパニオンプランツなんです。本記事では、この組み合わせがどんなメリットをもたらすのか、そして育て方のポイントについて、やさしく解説していきます。

ネギがジャガイモを病気や害虫から守ったり、土を元気にしてくれたりするなんて、ちょっと不思議ですよね。でも、自然の力を上手に活かすことで、よりおいしく、元気な野菜を育てることができるんです。

「ちょっと試してみようかな?」と思ってもらえるような、わかりやすい内容を心がけました。ぜひ最後まで読んで、あなたの菜園にも取り入れてみてください。

こんな方に読んでもらいたい
  • ジャガイモの連作障害に困っている方
  • コンパニオンプランツに興味がある方
  • 有機栽培に興味がある方
  • 交互栽培することでの効能を知りたい方
  • 交互栽培する方法を知りたい方

効能

ジャガイモ と ネギ の混植、または交互栽培は、病気予防・害虫忌避・リレー栽培に効果があります。

病気予防

ネギの根には、バークホーデリア・グラジオリーという拮抗菌が共生しています。この細菌は、土壌中の病原菌やウイルスを抑制する抗生物質を分泌し、次のような効果を発揮します:

  1. ジャガイモの病気予防
    • ジャガイモの疫病を予防する働きがあります。
    • 土壌中の病原菌を抑制し、病気の発生を減少させることができます。
  2. 連作障害の予防
    • 連作を続けると病原菌が蓄積しやすいですが、ネギの根に共生する拮抗菌は、それを防ぐ役割を果たします

さらに、ネギの根からは**強力な有機酸(根酸)**が放出されます。この有機酸には次のような効果があります:

  • ミネラルの吸収を助ける
  • 土壌の微生物バランスを整える

これにより、土壌環境が改善され、ミミズが集まりやすくなります。ミミズの働きにより、未熟な有機物が分解され、団粒化が進みます。この結果、良質な土が作られ、作物の成長をサポートします。

害虫忌避

ジャガイモの近くにネギを植えることで、ネギの強い臭いが害虫を遠ざける効果を発揮します。これにより、アブラムシからジャガイモを守ることができます。

さらに、ネギにはモグラを遠ざける効果も期待できるため、地中で活動する害獣からも守られる可能性があります。

リレー栽培

病気予防で紹介したように、ネギには拮抗菌が共生し連作障害の原因菌を減らす働きがあります。

よって、ジャガイモを植えた後に、ネギを栽培することで再びジャガイモを育てることが可能となります。

栽培方法

ジャガイモとネギの栽培方法について解説します。

栽培カレンダー

温暖地の栽培カレンダーになります。

品種

ジャガイモ

ジャガイモは特に品種を選びませんが、栽培時期に応じた品種選びが重要です。

春ジャガイモ

  • 代表的品種:男爵、メークイン、キタアカリ など
  • 特徴:寒さの影響を受けやすいため、芽が出やすい品種が向いています。そのため、保存期間は秋ジャガイモよりも短めです。

秋ジャガイモ

  • 代表的品種:デジマ、ニシユタカ、アンデスレッド など
  • 特徴:温暖な気候に適しており、長期保存が可能で芽が出にくい特性があります。
葉ネギ

葉ネギは、根を残して栽培できるため、根の拮抗菌が病原菌を減らす効果が期待できます。株ごと収穫する長ネギよりも、葉を刈り取って収穫する葉ネギがおすすめです。

特徴:暑さに強く、家庭菜園に適しています。葉や葉鞘が細く、柔らかく、香りが良いのが特徴で、薬味として利用されます。

品種:九条葉ネギ

メーカー:サカタのタネ

土づくり

ジャガイモは、3週間前に耕しておきます。つねに野菜づくりをしている畑の場合は肥料を施す必要はありません。また、そうか病に発症するリスクが高まるため石灰も施しません。

葉ネギは、3週間前に耕し、1週間ごとに 完熟たい肥 3kg/m2、有機石灰 3kg/m2、もかし肥料 3kg/m2の順で施します。

種まき・植付け

春ジャガイモ
種イモが小さい場合は、そのまま利用しますが、大きい場合ストロンと頂芽から切り分け、40~60g程度の大きさになるようにます。このとき、ストロン部分を切り取っておきます。これにより、イモ内のホルモンバランスが変化し芽が急激に伸びるようになるためです。

注意点:切り口は湿ったままだと土に触れると菌に侵されるため、数日乾かすか、草木灰を付けて菌の侵入を防ぎます。

植付けの際は、ジャガイモの切り口を上にして逆さ上します。通常は根を上に向けて植え付けますが、芽を下に向けることで弱い芽は淘汰され強い芽のみ生き残るため、後に芽かきをする必要がありません。また、ほどよいストレスを与えることで病害虫や気候の変化に強くなります。

秋ジャガイモ
秋ジャガイモの場合は、気温が暑い時期に植えるため、切り分けして植えると、切断面から腐ってしまうため、そのまま植え付けます。

葉ネギ
葉ネギは10cm間隔で筋蒔きします。

土寄せ・植替え

ジャガイモが成長すると地上に出てきます。そのまま日光に当てると、緑色に変色し有毒物質ソラニンがでてくるので土寄せをします。

草丈20cmで1回目の土寄せをし、2週間後、再び土寄せをします。ジャガイモが地上に出るようなら追加で土寄せします。

葉ネギは、草丈15~20cmで3,4株にまとめて、条間25cm、株間15cmで再び植付けます。

追肥

ジャガイモは追肥の必要ありません。

葉ネギは、2回目の植付けから2週間後にぼかし肥料を100g/m2ほど施します。また、収穫をおこなったときに、お礼肥として、ぼかし肥料を100g/m2ほど施します。

収穫

ジャガイモは、地上部が枯れたらイモを掘り上げます。

春ジャガイモの収穫の場合、残骸を放置しすると、テントウムシダマシの産卵場所になりやすいです。テントウムシダマシは、他のナス科植物に害を与えるため、早めに土に片付けましょう。

葉ネギは、草丈30~40cmで株元から刈り取り収穫します。収穫後、お礼肥として、ぼかし肥料を100g/m2ほど施しましょう。再び、葉が生えてくるので何度も収穫することができます。

土づくりと移植

ジャガイモの畝は、1週間ごとに 完熟たい肥 3kg/m2、有機石灰 3kg/m2、もかし肥料 3kg/m2の順で施した後、葉ネギを条間25cm、株間15cmで移植します。

葉ネギの畝は、軽く耕してから畝を立てなおします。その後、8月中旬~9月上旬に秋ジャガイモを植付けます。ただし、秋ジャガイモは切断して植え付けると、切断面から腐ってしまうため、そのまま植え付けます。その後の栽培は、春ジャガイモと同様です。

ループ栽培

秋ジャガイモを収穫後、ジャガイモの畝に葉ネギを移植。葉ネギの畝は、春ジャガイモを植え付けることで、同じ区画で、『ジャガイモ ⇔ 葉ネギ』の無限ループ栽培をすることができます。

連作障害がおこりやすいジャガイモにはとても便利なコンパニオンプランツです。

終わりに

ジャガイモとネギのコンパニオンプランツについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたか?

この組み合わせは、病気予防・害虫忌避・リレー栽培と、さまざまなメリットをもたらしてくれる理想的な共生関係を築きます。特に、ネギの根に共生する拮抗菌がジャガイモの病害リスクを低減し、また、ネギの強い香りが害虫を遠ざける効果もあるため、無農薬栽培を目指す方にもおすすめの方法です。

さらに、ジャガイモとネギを交互に栽培することで、連作障害を防ぎつつ、持続可能な土壌環境を整えることができます。家庭菜園でも簡単に取り入れられるので、ぜひ試してみてください。

今後も、コンパニオンプランツを活用した持続可能な栽培方法を紹介していきますので、「コンパニオンプランツライフ」をぜひチェックしてください!

皆さんの菜園ライフがより豊かで楽しいものになりますように。

少しでも参考になってもらえると嬉しいです。

参考文献

有機・無農薬のおいしい野菜づくり
筆者が有機栽培をする きっかけになった本です。各野菜の栽培方法から始まり、有機栽培の基礎として土づくりの方法・たい肥やぼかし肥料の作り方・コンパニオンプランツなども掲載。思わず何度も読み返してしまう一冊です。

農薬に頼らない病害虫対策
科目別 & 野菜別で、病害虫対策が記載されています。写真もふんだんに使われていてトラブル時に調べるのに重宝します。手元に置いておきたい一冊です。

竹内孝功さんが教える自然菜園のコツ【第12回】ジャガイモ&ネギ|趣味・生活|田舎暮らしの本 Web【宝島社公式】




よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次