はじめに
イチゴ と ニンニク の混裁についてご紹介します。
ニンニクはヒガンバナ科ネギ属の多年草です。ニンニクは土壌を消毒してくれる効果があるので、イチゴが病気になるのを予防します。また、独特のにおいがあるため、アブラムシの予防にも効果がありイチゴを守るガードマンの役割をしてくれます。
効能
イチゴ と ニンニク の混裁は、成長促進・病気予防・害虫忌避・空間利用に効果があります。
成長促進
イチゴのそばにニンニクを植えると、程よくストレスがかかりイチゴの株は立ち気味に育ちます。
イチゴは、春になると葉や茎を伸ばす栄養成長期から、花や茎を育てる生育成長期に入りますが、ニンニクを混裁することで、イチゴは1~2週間早く花が咲き、花の数も増えます。よって、収穫時期が増えることで実も収量も増えるのです。
病気予防
ニンニクのにおい成分のアリシンは殺菌作用があります。また、根には抗生物質を出す微生物が共生するため、土壌を殺菌しイチゴの病気を抑える働きをします。
抑えられるイチゴの病気は、萎黄病(いおうびょう)、炭疽病(たんそびょう)、灰色カビ病などです。
- 萎黄病… 株に発生する病気
- 炭疽病… 幹・葉に発生する病気
- 灰色カビ病… 果実に発生する病気
害虫忌避
アブラムシは悪いウイルス病を持ってくる場合があるので厄介ですが、ニンニクのにおいでイチゴにアブラムシが付きにくくなります。
空間利用
イチゴを2列で植えるける際は条間にニンニクを配置します。また、イチゴを一列で植え付ける際は、株間にニンニクを植え付けることで、スペースを有効利用できます。
栽培方法
栽培方法について解説します。
栽培カレンダー
温暖地の栽培カレンダーになります。
イチゴは収穫後に苗づくりを行うことができるので、気に入った品種を育てることができれば、何年も収穫することが可能。
作りやすい品種
「宝交早生」 「ダナー」 「北の輝き」で実が付きやすいです。
人気品種
- 「とよのか」甘みが強くジューシー
- 「さちのか」酸味が少なく甘い
- 「女峰」甘酸が調和している
- 「章姫」実が長めで甘みが強い
- 「アスカルビー」甘みと酸味のバランスが良い
品種
イチゴ、ニンニクともに品種は選びません。
土づくり
植付け3週間前までに、完熟たい肥3kg/m^3、ぼかし肥料150g/m^3、有機石灰200g/m^3を施し、よく耕します。
畝幅70cm、高さ20cmにします。高畝にしている理由は、イチゴの根は浅く土壌の水気が多いと病気になりやすいためです。
種まき・植付け
イチゴは、ポットの状態で30分ほど水に浸け置きし、たっぷり水を吸わせます。
ライナーの反対側にイチゴが実るため、収穫しやすいようライナーを畑の中心に向けます。そして、クラウンが土に埋もれないように気を付けながら植え付けます。
条間、株間ともに40cm。
ニンニクは、イチゴ2列の場合は4株の真ん中に、1列の場合は株間に植え付けます。
深さは、一般的には3~5cm、乾燥する場所では5~6cm土がかぶさるように植え付けます。
追肥
植付け1カ月後、2月下旬にぼかし肥料を一つまみ程度を施します。イチゴは根が浅く、根元に施すと逆に害になるため注意します。
マルチング
春に葉が伸びだしたらイチゴにマルチをします。目的は3つ。
- 乾燥から防ぐため
- 土温度を上げるため
- 実を保護するため
マルチがけは雨が降った後にがベストで、黒マルチ、またはワラを敷きます。黒マルチの場合は、穴が大きすぎると、実が保護できないので気を付けます。
収穫
ニンニクは、4月ごろに花芽が伸びてくるので、途中で切って茎ニンニクとして利用できます。ニンニクを掘り上げるのは、地上部が8割ほど枯れてから行います。
イチゴは、花が咲きだし、実が色づき始めたら網を張るなど鳥対策をしましょう。実が赤くなったら、ヘタを残したまま、つみとります。
終わりに
イチゴは、自分の花粉では受粉できないので、稀に実がいびつな形になることがあります。
対応策として、筆などで人工授粉する方法もありますが、ペチュニア、ポリジ、カモミールなどを近くに植え、ミツバチなどに受粉を助けてもらう方法もあります。
ニンニクについての応用ですが、長ネギや葉ネギに変えても同様の効果が得られます。この場合は、イチゴから15cmの距離に植え付けるのがポイントになります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
少しでも参考になってもらえると嬉しいです。
参考文献
有機・無農薬のおいしい野菜づくり
筆者が有機栽培をする きっかけになった本です。各野菜の栽培方法から始まり、有機栽培の基礎として土づくりの方法・たい肥やぼかし肥料の作り方・コンパニオンプランツなども掲載。思わず何度も読み返してしまう一冊です。
コンパニオンプランツの野菜づくり
沢山の植え合わせが記載されている「コンパニオンプランツ」の決定版です。木嶋利男先生の解説がわかりやすく、マネしたくなる技術が詰まっています。
基礎的なことはあまり記載されていないので、野菜づくりの応用編という感じです。何回読み返したかわかりません。オススメです。
農薬に頼らない病害虫対策
科目別 & 野菜別で、病害虫対策が記載されています。写真もふんだんに使われていてトラブル時に調べるのに重宝します。手元に置いておきたい一冊です。
コメント