菌ちゃん農法の畝をつくろう②

畝立て2日目
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畝に炭素資材と土を被せたら、一雨待ちます。畝に十分に水を吸わせることで、糸状菌の住みやすい環境をつくることができます。
また、雨が降っている際に排水が機能しているかも確認しましょう。少しの凹みでも水が溜まってしまうためです。
一度凹んだ場所は、盛り土をしてもスポンジのように水を吸収し、結果的に再び水が溜まりやすくなります。
排水側に向けて、凹んだ部分よりさらに低く排水を促しましょう。

菌ちゃん畝は、180cm幅のマルチがきれいにかぶさるよう設計されていますが、幅広のマルチは高価なため、筆者は95cm幅のマルチを使用しました。
95cm幅のマルチを使用する場合は、横に2枚被せたあと、天面をふさぐようにさらにマルチをかぶせます。
まずは横からです。始点に2点で押さえて固定し、マルチを張って、終点も2点で押さえます。
続いて、畝の下側面と上部をマルチ押さえで固定します。

反対側も同じ要領でマルチを張り、仕上げに天面をふさぐようにマルチをかぶせます。
180cm幅のマルチを張った場合は、畝の肩部分に穴を開けると空気を供給しやすくなります。
ただし、大きすぎると雑草が生えやすくなるので注意しましょう。
95cm幅のマルチは、もともと隙間ができるため、穴あけは不要です。
菌ちゃん畝の特徴として、畝の上に重りをのせるという工程があります。なぜ重りをのせるのでしょうか?
それは、水を畝の上部まで吸い上げるためです。
菌ちゃん畝はかなり高畝のため、最上部まで水が上がらず乾いてしまうことがあります。そうなると糸状菌が死んでしまいます。
そこで、畝の上に重りを置くことで土が密着し、毛細管現象によって水が上部まで吸い上げられるのです。
重りの下は湿り気を保ち、その周囲は適度な水分と空気、さらに黒マルチによる太陽の熱によって、糸状菌にとって最適な環境となります。
さて、重りにはどんなものを使えばよいのでしょうか?
ブロックや丸太であれば、マルチを張り替えるときや中の様子を確認したいときに、簡単に持ち上げられるため便利です。
無い場合は畑の土をのせても構いませんが、ほぐれた土だと雨で流れてしまうことがあるので、固まった土をスコップで掘り上げて使いましょう。
重すぎると湿りすぎて糸状菌が窒息してしまいますし、逆に軽すぎると水が上がらず乾燥してしまいます。
適度な重さを心がけましょう。重さの目安としては、5kgの米袋をイメージするとちょうどよく仕上がります。
配置は20cm間隔。畝の角付近に千鳥状(互い違い)に配置しましょう。

写真は千鳥状になっていませんでした。すみません。(>_<)

これにて仕込み完了です。
この状態のまま、2〜3カ月ほど土を熟成させます。
畝の状態をチェックしましょう。
- 重りの量が適切か?
- 溝が水たまりになっていないか?
- マルチがはがれていないか?
重りの量を確認するには、マルチの始点・終点部分を少しはがして中の様子を見てみましょう。
適度に湿っていれば問題なし。乾いているようなら重りの量を増やし、逆に水気が多い場合は重りを減らします。
溝に水たまりができているようなら、排水口に向けて深さを調整しましょう。
マルチがはがれていたら、マルチ押さえでしっかり固定します。

終わりに
今回は、菌ちゃん農法とは何か?という基本から、実際に畝を立てるまでの流れを丁寧にご紹介しました。
肥料を使わずに、微生物の力を最大限に活かす自然農法。そのなかでも「菌ちゃん農法」は、畝の大きさや形が数値で決められているので、初心者の方でも取り組みやすいのが特徴です。
資材集めでは、もみ殻や落ち葉など身近にある炭素資材を活用できること、道具は手に入りやすいものが多いこともお伝えしましたね。
畝づくりの工程では、排水の大切さや炭素資材の敷き方、マルチの貼り方や重りの意味まで、ひとつひとつの作業が植物と微生物の快適な環境づくりにつながっていることを実感いただけたかと思います。
「ちょっと難しそう…」と感じた方も、何度も読み返したり、実際に手を動かしながら少しずつ慣れていけば大丈夫。
自然のしくみを学びながら育てた野菜は、きっと味も格別です!
次回は、畝の変化や植え付けのタイミングについてもご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。
あなたの野菜づくりが、もっと楽しく、もっと自然とつながる時間になりますように。
参考文献
菌ちゃん農法の肝は畝づくりにあり、自然農法が誰でも再現できるように大きさが数値化されていて分かりやすいです。
図や写真が多く、とてもわかりやすく解説されています。ぜひ、お手に取ってご覧ください。