ミカン(柑橘系)x ナギナタガヤ 混栽

コンパニオンプランツ

はじめに

ミカン(柑橘系)のコンパニオンプランツとして「ナギナタガヤ」が全国的に広く用いられています。ちなみに、ナギナタガヤの混栽はミカンのみではなく、柑橘系全般に使える手法です。

こんな方に読んでもらいたい
  • ナギナタガヤはどんな植物なのか知りたい
  • ミカン x ナギナタガヤの効能が知りたい
  • 混栽のメリットとデメリットは何?

ナギナタガヤ は どんな植物

ナギナタガヤは、イネ科で一年草の植物です。種まきは、冷涼地で9月~10月上旬。中間地・暖地では9月中旬~11月上旬におこないます。

秋に種まき後、幼苗(ようびょう)で冬を越えます。
春になると背丈が伸びて50cmほどの高さになり、その後に出穂(しゅっすい)します。
初夏に気温が上昇してくると、雑草が生えだす季節ですが、枯れた葉や茎が地面を絨毯状に覆うため雑草が生えるのを防止します。
その後、分解されて有機物となり土壌の肥やしとなります。

農業博士である木嶋利男先生は、草丈10~15cmで刈り穂を出さないようにすると、秋まで緑のまま維持することが可能と述べられています。
また、刈らずに放置しておくことで、葉が枯れて絨毯状になり、こぼれ種が発芽します。ただし、まだらになる場合があるので、種を採取してから蒔きなおしたほうが良いとも述べられています。

コンパニオンプランツによる効能

混植病気予防害虫忌避生育促進空間利用
ミカン(柑橘系) x ナギナタガヤ

病気予防・生育促進

ナギナタガヤは、初夏になると地上部が枯れて地面を絨毯上に覆います。これにより、土壌をマルチングするため、土を乾燥から守りバイオの力でフカフカにします。また、根を守る効果もあることから、ミカン(柑橘系)は健やかに育ち、病気になりずらくなります。

地温変動の緩和にも効果があります。

害虫忌避

ミカン(柑橘系)にはミカンハダニという害虫がつきますが、天敵であるミヤコカブリダニ類の発生により害虫被害が減る事例があります。このミヤコカブリダニは ナギナタガヤ の葉に保護されて越冬し、春から活動を開始します。

温州ミカンの栽培では、通常ミカンハダニの被害を防ぐために、農薬を年に5回ほど散布しますが、ナギナタガヤを栽培することで、年に2回で済むためコストを抑えることができます。

温州ミカンの場合
慣習では、4,6,7,9,10月の5回、農薬散布が必要です。
ただし、ナギナタガヤを混栽した場合、5~9月はミヤコカブリダニが活動する時期のため、ミカンハダニを撃退してくれます。よって、4、10月の2回のみ農薬散布をすれば良いので、3回分節約になりコストダウンがはかれます。

その他の効果

ナギナタガヤを混植すると、土壌流防の防止効果があります。
斜面の場合、雨で肥料分が流れてしまい復旧に時間や労力を割くことがあります。ただし、ナギナタガヤを芝生のように植えておくことで、根が網の役割をして土を押さえてくれるため、流れ出しを防止してくれるのです

デメリット

ナギナタガヤを混栽するデメリットもあります。

  • ミカン(柑橘系)は ナギナタガヤ に養分を取られるため、肥料を3割増しで施す必要がある
  • ナギナタガヤ が生い茂ると背丈が50cmほどとなるため、歩きづらくなる
  • 草が倒れ、絨毯上になると歩きやすくなるが、雨が降ると滑りやすくなる

斜面の場合は、雨が降ると特に滑りやすくなるので注意が必要です。

栽培方法

品種選び

柑橘系は特に品種を選びません。ナギナタガヤ は緑肥として種で購入できます。
ただし、果実農園の方を対象にしているため、種の量がびっくりするくらい多いです。

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土づくり

水はけがよく、日がよく当たる場所を選びます。植付けの1カ月前くらいまでに腐葉土を鋤きこみます。

柑橘系の植付け

3月中旬~4月上旬までに植付けを完了させる

ナギナタガヤの種まき

9月下旬~10月上旬に種を、柑橘類の株元にバラ蒔きして、軽く土で覆います。

追肥

3月に油かす、6、10月にぼかし肥を施します。ミカン(柑橘系)は、ナギナタガヤ に栄養を吸収されるため、3割増しの肥料を与えます。

収穫

柑橘類は適宜収穫します。
ナギナタガヤの種取りをおこなう際は、出穂後、7月に枯れた穂を刈り取ります。よく乾燥させて、9月に種取りをおこないます。

まとめ

ミカン(柑橘系)とナギナタガヤを混栽することで、多くのメリットがあります。

  • 雑草が生えるのを抑制する
  • ミカン(柑橘系)乾燥から守る
  • ミカン(柑橘系)の根を守る
  • ナギナタガヤ に 潜伏している ミヤコカブリダニ(益虫)が、5~9月にミカンハダニ(害虫)を撃退する
  • 斜面で栽培する場合、ナギナタガヤ の根で肥料が流れ落ちるのを防止する(土壌流防の防止)

デメリットもあります。

  • ナギナタガヤ に養分が吸収されるため、ミカンに必要な肥料を3割増しで施す
  • ナギナタガヤ が50cmになるため歩きずらくなる
  • ナギナタガヤ が枯れて地面を覆った際、雨が降ると滑りやすくなる

ナギナタガヤのマルチング効果を応用して、ウメ、モモ、ナシ、ブルーベリーの栽培にも用いることができるので、お試しください。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

参考文献

土着天敵とナギナタガヤ草生栽培によるミカンハダニの減農薬防除体系 (affrc.go.jp)

ナギナタガヤ草生栽培 (sudatikaen.com)



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