始めに
今回は鶏ふんは、安くて栄養満天の肥料ですが、使い方によっては植物を枯らしてしまう可能性もあります。そんな鶏ふんについて紹介します。
鶏ふんとは
鶏ふんはニワトリのふんですが、ふんシリーズには鶏ふん以外には、牛ふん、豚ぷん、馬ふんなどがあります。それぞれの特徴を紹介します。
牛ふん
牛の主食は草です。食べた草は口から入り、歯で細かく砕き、4つの胃で分解。そして腸でしっかり体に吸収し、ふんとして排泄されます。これを発酵させたのが牛ふんです。
牛ふんは、チッソ:リン酸:カリが、1%:1%、1%入っています。合算しても3%なので、栄養素はあまり入っていません。しかし、善玉菌の影響で土をフカフカにすることから、肥料というよりは土壌改良する堆肥として使用されます。
植物を育てるための3大栄養素
チッソ | 葉っぱや茎を育てる |
リン酸 | 花や実を育てる |
カリ | 根っこを育てる |
豚ぷん
豚は雑食で、消化器系は人間に似ています。豚ぷんは、チッソ:リン酸:カリが、3%:5%、2%入っています。豚ぷんは堆肥などの土壌改良材と言うよりは肥料になります。
馬ふん
馬の主食は牛と同じく草で、消化器系は牛と違い、小さい胃が1つだけ。ただし、腸がとても長く微生物やバクテリアに力を借りて、しっかり分解し吸収します。そのため、馬ふんは、チッソ:リン酸:カリが、0.5%:0.5%、0.5%しかはいっていませが、腸に良質な微生物やバクテリアなどの善玉菌の影響で、牛ふんより土をフカフカにする作用があります。
鶏ふん
そしてニワトリです。ニワトリは雑食ですが、餌としては、トウモロコシ、麦、米、米ぬか、マメ類など穀物類、また、カルシウムを摂取するため蛎殻を砕いたものも与えるようです。
ニワトリはタマゴをたくさん産むため、タマゴの殻を構成するカルシウムはとても大切な栄養素となります。
消化器系についてですが、鳥は歯がないので食物を細かく砕くことはできません。そして胃で分解した後、砂肝で食べ物を細かくはしますが、腸が短いため栄養を吸収しきれず、栄養が残ったまま、ふんを排出します。したがって、栄養をたっぷり含んだ極上のふんになります。
また、鳥は尿とふんは別々の場所から排出されるのではなく、一か所から排出されます。尿は、アンモニアなので、チッソの栄養素に変わるため、さらに栄養素が加算されます。
鶏ふんは、チッソ:リン酸:カリが、3%:7%、3%入っています。さらに、餌にカルシウムが与えらてれいることから、5大栄養素である4番目のカルシウムまで含んでいます。カルシウムは、植物の細胞壁を強化することにより、虫などに対して防御力がアップする働きがあります。
メリット デメリット
鶏ふんのメリット、デメリットについて解説します。
メリット
コストが安い
日本人は鶏肉、タマゴが大好きです。最近では鳥の唐揚げは人気ですし、タマゴも毎日食べる人も多いのではないでしょうか。このタマゴ。じつは国内消費量は95%もあります。
よって、ニワトリがたくさん飼育されているため、鶏ふんも安価となります。
栄養バランスが良い
”鶏ふんとは”でお伝えした通り、チッソ:リン酸:カリが、3%:7%、3%入っており、理想的な栄養になります。夏野菜の大量の実がなるトマト、ピーマン、ナスなどには最適です。
なお、リン酸は、リン鉱物から採取する必要があるため、ほぼ輸入になりますが、鶏ふんは、国内で生産でき、リン酸が7%も含んでいるため、貴重な肥料となります。
デメリット
臭い
鶏ふんは、尿を含んでいるため空気に触れてアンモニアに分解されます。アンモニアは空気より軽いため、より臭いを感じやすくなります。なお、臭いは発酵させるほど少なくなります。
土壌改良効果が薄い
栄養素を多く含んでいますが、土をフカフカにする効果はとても少ないです。よって、土壌改良するためには、別に堆肥を用意する必要があります。
種類
鶏ふんには、乾燥タイプ、発酵タイプ、炭化タイプがあります。価格は、乾燥→発酵→炭化の順で価格が上がります。
乾燥鶏ふん
鶏ふんを乾燥したものになります。特徴としては、乾燥させただけなので、そのまま肥料として与えると、悪玉菌が増えて野菜を痛めてしまいます。よって、必ず発酵させる手間をかけてから使うようにしましょう。形状は、粉の物が多いです。
発酵鶏ふん
鶏ふんを発酵させたタイプになり、一般的に販売されているのは、この種類が多いです。特徴としては、発酵されているため、そのまま肥料として使用することができます。また、発酵されているため、臭いも抑えられています。ただし、発酵度合いは商品によってことなります。形状は、粉、粒、ペレットタイプがあり、細かいほど即効性があります。
炭化鶏ふん
鶏ふんを炭化させたものになり、黒く炭になっています。特徴としては、デメリットである臭いがありません。よって、室内でも安心して使用できます。また、炭化しているためPH値はアルカリ性になるため、石灰として使用することもできます。
注意事項
鶏ふんを使用する際に、注意しておきたいことは2点です。
肥料を根に接触させない
植物の根に接触させると肥料に水を奪われることから、ぐったりした状態になったり枯れてしまうこともあります。
追肥する際は、離して与えるようにします。40~50 cm離していても効果はあります。
元肥として発酵鶏ふんを与える際は、植付け1週間前には作業を完了さておきます。
カルシウムを含んでいることを考慮する
発酵鶏ふんは、カルシウムを含んでいるため土が少しづつ固くなっていきます。よって、状況をみながら土壌改良材である堆肥などを混ぜ込むようにします。
なお、発酵鶏ふんはカルシウムを含んでいますが、酸性土壌を中和するほどではありません。土壌を中和するには、別に石灰を使用します。おすすめは、苦土石灰です。苦土=マグネシウムで、5大栄養素のなかの5番目の栄養素です。マグネシウムは、緑を濃くし光合成の効率を高める働きをします。
最後に
鶏ふんまとめ
- ニワトリは消化器の影響から栄養を吸収する効率が悪いため、ふんが栄養満天になる
- チッソ:リン酸:カリが、3%:7%、3%含んでおり、実ができる野菜には理想的な栄養価である
- カルシウムも含んでいる
- 安くて栄養満天だが、臭いこと土壌改良できないことが難点
- 種類は、乾燥、発酵、炭化があるが、乾燥は発酵させないと使えない
- カルシウムにより土を固くするため、土壌を確認しながら土壌改良材の投入を検討する
皆さんの園芸ライフに少しでも役に立つようでしたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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