プロに学ぶ!種まきの基本!

栽培の基本

はじめに

今回は、トラブルがつきものの種まきについて記事にします。

種まきのノウハウは”木嶋利男”先生の、”驚くほどよく育つ野菜づくりの裏ワザ 決定版”、”野菜の植付けと種まきの裏ワザ”を参考に記載しています。
木嶋先生の本は、科学的根拠、真似してみたくなる斬新な手法など、野菜づくりの楽しさが詰まっています。家庭菜園をされる方は、ぜひ手に取って読んでもらえると嬉しいです。

こんな方に読んでもらいたい
  • 発芽させるための3条件(水・適温・酸素)を理解したい
  • 発芽後、種はどのように変化し成長するのか理解したい
  • 水やりのタイミングが知りたい
  • 光を必要とする種、光を嫌う種を知りたい
  • 集団で生育が良くなる種子、単独で問題ない種子を知りたい

発芽条件

種は基本的には休眠状態にあり、3つの条件がそろうことで発芽します。その条件とは、水、適温、酸素です。たとえば、寒すぎたり、暑すぎたりすると適温になっていないため発芽しないし、乾燥していて水分に接していない状態でも発芽しません。種は、条件が揃うまで休眠状態のまま待っているのです。

発芽するには水が浸透する必要があります。(1段階成長)
種から芽や根が外へ伸びだした時も水分が必要になります。(3段階成長)

適温

植物にあった適切な温度と、水分があれば細胞が呼吸を開始します。
内部で酵素やホルモンが働くためにも適温があります。

酸素

細胞が呼吸するために必要です。
種に蓄えられた養分を分解するのに必要です。

発芽段階

種は休眠状態から条件がそろうと、1段階、2段階、3段階と変化していきます。
ここで覚えておきたいのは、1,2段階目までなら休眠状態まで引き返すことができますが、3段階目まで到達すると、土が乾燥し水分切れになることで後戻りできず死んでしまいます。

1段階

種に水が浸透して膨らみます。このときは、十分な水分が必要となります。

2段階

適切な温度になると、種の中のデンプンや脂質が、酵素により分解され糖分となります。また、細胞が呼吸を開始し、細胞分裂を繰り返します。

3段階

種皮の外に芽や根が伸びだします。そして、根から水分を吸い始めるため十分な水分が必要になります。

土壌と水やり

発芽の段階がわかったところで、土をどのように管理するべきか考えていきます。

土の湿り気の理想は、2~3日前に雨が降り、土の表面が乾いていて少し掘ると湿っている状態です。この状態だと種まきをした後に水やりをする必要はありません。

土がカラカラの状態から種まき

土がカラカラの場合は、種まきをおこなう3日前の朝昼夜に、たっぷり水やりをし十分土を湿らせましょう。この作業で2~3日前に雨が降った状態に近づけることができます。
悪い例としては、土がカラカラの状態で、種まきをおこない大量に水やりをしてしまうことです。これでは、水は表面だけ湿らすだけで土の中まで浸透しません。

水やりはかえって危ない

発芽の3番目の条件は、酸素ですが水やりをおこないすぎると種が水没し、呼吸できなくなって腐ってしまいます。この状態は大雨が降った時や、水はけが悪い土壌でも同様です。
マメ類など種が大きい場合も要注意です。このような種は、必要とする酸素は多く必要ですが、表面積が小さいため酸欠になりやすくなります。また、種内のタンパク質、脂質が多いため微生物が繁殖しやすいため、腐りやすくなります。

その他の発芽条件

発芽条件は、水、適温、酸素ですが、忘れてはいけない重要な要素として光があります。野菜の種類によっては一定の光がないと発芽しない種子を好光(こうこう)性種子といい、逆に明るいと発芽しない種子を嫌光(けんこう)性種子といいます。また、光の影響を受けない種子もあります。

好光性種子

  • レタス、シュンギク、ゴボウなどのキク科
  • セロリ、ミツバ、パセリ、フェンネル、コリアンダーなどのセリ科
  • シソ、エゴマ、バジルなどのシソ科

夏まきニンジンは、1cmほどの深さに種まきし踏んずけて固める。これにより毛細管現象で水分を吸収しやすくなり、種の上の土がつぶれて薄くなるため光が当たりやすくなります。
秋まきニンジンやレタスは、1~2cmのV溝をつくり、溝に種を置いていく方法もあります。溝の周りの湿気で水分が保たれるし、雨や風ので土が崩れ自然に種を覆います。

嫌光性種子

  • ネギ、タマネギ、ニラなどのネギ類
  • ナス、ピーマン、トマトなどのナス科
  • ダイコン、ラディッシュなど一部のアブラナ科
  • キュウリ、カボチャ、スイカなどのウリ科

種まき後に新聞紙などを被せることで暗くすることで発芽しやすくします。

集団を好むか 孤立を好むのか

野菜の種まきのヒントは自然界にあります。たとえば、エダマメ、インゲン、エンドウやダイコンは一つのサヤに3~5粒まとまっています。どれも親株が倒れるなどして、サヤが地面に落ちて種がまとまって発芽します。このような種子は一つの穴に3~5粒まとめてまいて鎮圧して発芽させると、1粒でまくより発芽がそろい、よく生育します。

トマト、ナスなどは果実を動物が食べて、フンとして地面に落ち発芽します。フンの中には色々な種が混じっていることが多いです。そこで、これらの種は、一粒でまかないで、ポリポットなら固めて、育苗箱なら条状にまきます。そうすることで、いっせいに発芽します。本葉が1.5枚ほどになったら一株づつ鉢上げします。

カボチャやスイカなどは、トマト、ナス同様に果実を動物が食べてフンとして落ちますが、種が大きいため一粒になることが多いことから、単独でも問題なく育ちます。ただし、発芽率を考慮すると、2~3粒、葉が重ならないように少し離してまきます。

おわりに

種まきをおさらいすると以下となります。

  • 種まきの三大条件は、水・適温・酸素
  • 発芽段階は3段階で1段階と3段階は水分が十分必要
  • 種まきは雨の2~3日後がベスト
  • 水やり過多、大雨、水はけがわるいと呼吸できずに種が腐る
  • 種には好光性種子、嫌光性種子、光の影響をうけない種がある
  • 集団で生育が良くなる種子と、単独でも問題ない種子がある

皆さんの野菜づくりに少しでも参考になると嬉しいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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